タングルウッドコンサート

ボストンシンフォニーホールのコンサートもいいけど、時間があるなら是非タングルウッドまで足を伸ばしてみてはいかがでしょう。ちょっと遠いけど、バークシャー高原の緑と大自然の中で音楽を楽しめます。

タングルウッドコンサートのチケットの買い方

<電話で予約する>
シンフォニーチャージ617-266-1200、1-888-266-1200へ。または、チケットマスター617-931-2000, 1-800-347-0808アメリカンエクスプレス・ビサ・マスターカードでの支払いができます。
<インターネットでアクセス>
同じくクレジットカードを使ってチケットを購入することができます。詳しくはhttp://www.bso.org/へどうぞ。
<タングルウッドボックスオフィスへ行く>
タングルウッドのメインゲートの向かって左側にボックスオフィスがあり、6月1日からオープンしています。ただし6月21日まではオープンしている時間が短いので注意してください。コンサートが行われる日はインターミッションまでオープンしています。芝生席が希望の人は、当日ここのボックスオフィスでチケットを手に入れることもできます。スポンサー・TDKの好意によって、12歳までの子供は大人1人につき4人まで無料で芝生席に入場できます。

コンサートによって、クーゼビッツスキー・ミュージック・シェッドで行われる場合とセイジ・オザワホールの場合があります。また、通常料金の時と特別料金になる場合もあるので、まずはコンサートのスケジュールを確認してみてください。5才以下の子供は芝生でしかコンサートを聞けない決まりなので、ご注意ください。

タングルウッド

場所:マサチューセッツ州西のレノックスという所にあります。ボストンから車で約3時間
行き方:マサチュセッツターンパイク(90号線)の出口2番でおり、20号線から7号線を経て183号線へ。こうやって書くと複雑な気がするかもしれませんが、ターンパイクを降りた所から「タングルウッド」のサインがあるので、迷うことはないと思います。レノックスセンターまで来たらもうすぐそこで、メインゲートは183号線沿いにあります。どこにパークするかは係員の指示に従ってください。コンサートが終わると車が一斉に帰路につくわけで、ゲート周辺はなかなか混雑します。それをさける為にコンサートの最後をあまり聞かずに席を立つ人がけっこういるのですけど、これってとっても失礼だと思います。あせっても結局は大して変わらないのだから、ゆっくりとあせらずに行きましょう。それから、マスターンパイクの出口3番と2番の間はなんと29マイル(約45キロ)もあります。途中サービスエリアはあるけど、何にも変化のない所を走って行きます。正確には山越えという感じ。居眠り運転をしないように注意しましょう。

また公共の交通機関について問い合わせをよくいただきますが、原則的には自分でドライブをするしか方法はありません。スプリングフィールド経由でレノックスまでバスが運行していますが、便数に限りがあるので難しいと思います。どうしても自分でドライブしたくないという人は、車を持っている友だちを誘って一緒に行くという方法もあります。またニューヨークよりオプショナルツアーが催行されているかもしれないので、問い合わせをしてみたらいかがでしょうか。

平日は夕方・もしくは夜というのが一般的で、週末は昼間に行われます。タングルウッドのあるあたりはバークシャー地方と言われていて、大自然に恵まれニューヨーク・ボストンに住む人々の避暑地として有名な所です。折角タングルウッドに来たのならばと、ゆっくりしたい感じですが、夏の間は周辺のホテルを見つけるのがとても大変です。ホテルによっては週末は1泊だけでは売らず、2泊しないとダメという強気な所も多いですし、値段もとても高くなります。私は土曜日か日曜日のコンサートに行って、のんびりと音楽を楽しんで日帰りで帰ってくるようにしています。遠いし、ちょっと行けそうもないという人には日本人会で行っているツアーもあります。ボストン日本人会が毎年7月に大型バスをチャーターして、タングルウッドバスツアーを行ないます。コンサートのチケットも含めて、通常1人70ドル前後です。ただし会員以外の方は若干値段が高めになると思います。

マスターンパイクの2番の出口を出て車で3分ほどの所に、バークシャーアウトレットビレッジという大きいアウトレットモールがあります。折角だから行ってみたいという人は、こちらへどうぞ。

タングルウッドのおみやげ屋さん

タングルウッド内にはギフトショップが2軒あります。先ずは、メインゲートのすぐ隣り。横に細長くなっていて、グラスハウスギフトショップとタングルウッドミュージックストアの2軒がつながっています。グラスハウスという名前から解るようにお店はガラス張りになっているので、どんな商品があるのか外からも見えます。

もう1軒はHighwoodゲートのわきにあるグラスハウスギフトショップ。シェッドのステージ側の少し奥のあたりです。トイレも横にあるし、場所はスグに解ります。一般的なおみやげが欲しいなら、グラスハウスギフトショップへどうぞ。ロゴの入ったTシャツ・トレーナー、トートバック、ポスターなどを扱っています。ミュージックストアでは、CD、楽譜、本などを売っています。タングルウッドのロゴが入ったものは、ここでしか手に入らないので記念にどうぞ。


          


さて、ここからは歴史なども含めてタングルウッドについて説明していきます。タングルウッドとは、木がからみあった所という意味で、ここのコンサート会場のために作られた造語です。この言葉が示すように、緑と大自然に囲まれた夏の野外コンサート場で、コンサートホールで音楽を楽しむだけではなく、芝生の上で自然を満喫しながらコンサートを聞くのも楽しみの1つです。開演の何時間も前から、芝生の上は少しずつ人が集まってきます。シーツを広げたり、パラソルを立てたり、折り畳みの椅子を準備して、お弁当やワインなどを楽しみながらコンサートまでの時間を過ごします。気分は正にピクニック。大都市から離れていて、周りには何もないような場所なのにもかかわらず、どこから集まってくるのかコンサート前には多くの人々で満員になって芝生は通るのも大変なほど。ピクニック気分で音楽を楽しめるのは、夏のタングルウッドならではの楽しみでしょう。お弁当を作るのが大変という人も大丈夫。中にはカフェテリアがあります。もちろんお酒も買えます。

タングルウッドの歴史は1934年・夏までさかのぼります。音楽好きなバークシャーの住民がニューヨークフィルのメンバーを招待して、コンサートを行いました。1つの週末だけの限られたコンサートでしたが、とっても好評だったので、バークシャー・シンフォニック・フェスティバルと名前を変えて、その翌年も行われることとなりました。1936年にはボストンシンフォニーオーケストラと当時の常任指揮者・クーゼビッツスキー氏が招待されることとなりました。コンサートは鉄道王・バンダービルト氏の敷地、ホルムウッドで行われ、テントの下でのコンサートながら1万5千もの人が集まる大盛況でした。


この話を聞いたタッパンファミリーは、夏のコンサート会場のために自分達の夏の別荘とその土地を寄付することを決めます。210エーカーもの広大な敷地を持つタングルウッドは、もとは何と個人の敷地であり、個人の寄付によるものなのです。アメリカ人はお金持ちの度合いも、やることもスーパーですね〜。メインゲートを入って正面のあたりに位置するタングルウッド・マナーハウスはタッパン家の夏の別荘として実際に使用されていた建物です。現在は、タングルウッド・ミュージックセンターのオフィスとして使われています。こうして1937年8月5日に、初めてタングルウッドでコンサートが行われました。最初の記念すべきコンサートは、すべてベートーベンの曲だったそうです。シンフォニーホールのメダリオンが浮かびますね。(解らない人はボストンシンフォニーのセクションを読んでみてね)土地が寄付されたとはいえ、この時期にはまだまだテントの下でコンサートが行われていたのですが、同じく1937年の第2週目のコンサートで事件が起こります。強い雨とかみなりのために、コンサートが2度も中断されてしまったのです。この事件の後、ロビンソン=スミスという女性が中心となって、コンサートホールを作るために寄付が集められ、1938年にクーゼビッツキー・シェッドが完成したのでした。タングルウッドでは第2次大戦中の1942年から1945年を除き、毎年夏にコンサートが行われています。現在では、毎年30万人を越える人々が集まるコンサート会場へと成長をとげました。そしてここでのコンサートを支えているのは、多くのボランティアの人たちであることも忘れてはなりません。入り口でプログラムを配っている人々、身障者を助けてくれる人々。音楽が好きなので毎年ここで手伝っているという人も多く、老若男女さまざまな人が活躍しています。以前行った時に、グループの中に車椅子の人がいたのですが、ボランティアの若い男性が車椅子を押してくれました。タングルウッドって広いし、けっこうデコボコしてるので、大変なんですよね。もう大丈夫と言ったのですが、「これが僕の仕事ですから」と言って汗をかきながら一生懸命押してくれました。

タングルウッドの雰囲気を味わいたいなら


小澤征爾さんの長女・征良(せいら)さんが書いた「おわらない夏」はいかがですか?プールでおぼれかかった5才の征良さんを救うために、足の親指の生づめをはがしてしまったエピソードなど、世界中で活躍する小澤征爾さんの父親としての一面。家族とともにタングルウッドで過ごす楽しい夏のエピソード。マサチューセッツ州西部にある小さい街での暮らし、人々との暖かいふれあい。タングルウッドを身近に感じ、すぐにでもタングルウッドに行きたくなってしまうこと間違いなしの1册。左側の写真の木はこの話の中に出てくる小澤さんの親友だった遺骨の一部を埋めた場所です。タングルウッドのどこにあるかは、探してください。集英社刊。

クーゼビッツスキー・ミュージック・シェッド

クーゼビッツスキー氏に依頼されたサーリネンによるもともとのデザインは、10万ドルを越えるかなり予算をオーバーしたものでした。そのためサーリネンのデザインをもとにして、シェッド(直訳すると小屋とか倉庫とかいう意味)と呼ばれる現在のシンプルなデザインへと変更され、1938年のシーズン初日・8月4日にオープンしました。しばらくはシェッドと呼ばれていましたが、1990年にクーゼビッツスキー氏の名前がつけられることとなりました。

クーゼビッツスキー氏は、1924年から49年までボストンシンフォニー・オーケストラの常任指揮者をつとめ、タングルウッドでのコンサートの初めの16年間をリードした偉大な音楽家です。彼の偉大な功績はアメリカ人作曲家を激励して、積極的にアメリカ人作曲家による作品を紹介したことにあります。彼が常任指揮者になってから20年の間に、ボストンシンフォニーオーケストラで演奏したアメリカ人作曲家による作品の総演奏回数は162回にもおよび、新曲は66曲にもおよぶそうです。これは、もちろんアメリカのオーケストラ史上最高記録で、未だにこの記録は破られていないそうです。

シェッドはその名前が示すように独特なデザインをしています。メインゲートから入って左側にある体育館のような大きい建物がそうです。ステージを中心にして扇のような形をしていて、ホールの3方の終わりには一切壁や仕切りがないという屋根だけのオープンな作りとなっています。シェッド内部には椅子が5121席があり、周りには1万人を越える人々がコンサートを楽しめるように芝生が広がっています。ポッキーはいつもこの芝生席を愛用しています。上の写真にもあるようにどこからともなく(笑)人々が集まってきて、コンサートが始まる時間ともなると人でいっぱい。音楽を楽しむのと同じくらいに大自然の雰囲気を満喫しつつの〜〜んびりしたい人には、芝生席は最高です。少し早めに来て、木陰に椅子を置いて(スーパーなどで折り畳みの椅子はとっても安く売っています)お弁当にビール、ワインなどなどを持参すれば、気分は最高!

セイジ・オザワホール

セイジ・オザワホールはシェッドからさらに奥に入った、バーンスタイン・キャンパスと呼ばれる敷地にあります。レオナルド=バーンスタインの名前はニューヨーク・フィルハーモニーの指揮者としてもおなじみかと思います。彼は1940年にタングルウッドに音楽の勉強にやってきて、その後指揮者としても若い音楽家の育成にも活躍しました。ちなみに、彼が最後にタングルウッドに来たのは、彼の死の少し前の1990年のことです。

セイジ・オザワホールは1994年7月7日にオープンしました。新しい建物を建てるにあたって、一番多く寄付をした人がその建物の名前をつける権利があたえられます。このホールはソニーの大賀典雄社長によって、タングルウッドに一番ふさわしい名前ということで小澤征爾さんの名前が付けられました。音響効果と外への解放性という一種矛盾したような2つをテーマに、総工費は970万ドルもかかったそうです。外壁はレンガ、室内は木材をふんだんに使ったこった造りになっていて、内部にはは1180席あります。ホール後方の扉を開くことができるようになっていて、シェッドと同じように外の芝生でも音楽が楽しめるように設計されています。

タングルウッド・ミュージック・センター

タングルウッド・ミュージック・センターは、若い音楽家を育てるサマースクール、バークシャー・ミュージック・センターとして創立されました。創立は1940年のことで、当時のボストンシンフォニー・オーケストラの常任指揮者、クーゼビッツスキーによるものでした。彼は優れたスタッフを集めただけでなく、彼自身も教壇に立ちました。この努力は、クーゼビッツスキーが常任指揮者を引退した翌年・1950年まで続けられ、その後1962年まではバーンシュタイン氏らと共にミンシュ氏が、そして1970年以降は小澤征爾さんがその後を次いでいます。

現在、タングルウッド・フェローシップと呼ばれているプログラムでは、世界中から集まった若い音楽家たちにボストンシンフォニーオーケストラのメンバーや優れた音楽家が楽器・歌・指揮などを教えています。さらに、ボストン大学の協力によって、高校生くらいの年令の若者にも同じようなプログラムを設けています。ここから育っていった音楽家を挙げればキリがないほどで、現在アメリカ内のシンフォニーオーケストラで活躍している音楽家の20%は、ここのミュージックセンター出身だそうです。ミュージックセンターで学ぶ若者を中心とした、タングルウッド・ミュージックセンター・オーケストラのコンサートも定期的にセイジ・オザワホールで行われています。将来の大物たちを安い値段で楽しめるわけだし、興味があったらスケジュールをチェックしてみて下さい。